40年ぶりの労働基準法の大改正について経営者・人事労務担当・会社員が押さえるべき20のポイント

1. フリーランスも「労働者」に含まれる可能性アップ

  • 形式上は業務委託でも、

    • 会社の指揮命令を受けている

    • 会社の机があり、上司もいて、ほぼ社員同様
      という実態なら労働基準法上の「労働者」として保護する方向。

  • 「使用従属性(指揮監督下にあるか)」「報酬の労務対価性(時給など)」が基準。

  • これにより、偽装フリーランスは労基法適用対象になりやすくなる見込み。

2. 家事使用人(お手伝いさん等)も労基法の対象へ

  • いまは法適用除外だが、
    **「この時代にここだけ対象外はおかしい」**として廃止方向。

  • 家事労働者も労基法で守る形に。

3. 労使協定・就業規則の「事業場単位」→「企業単位」へ拡大

  • これまでは事業所ごとに作成するのが大原則。

  • 本社一括で就業規則などを決めやすくする方向で見直し。

4. 労働者代表(過半数代表)の位置づけ明確化

  • 組合がない会社で選ぶ「過半数代表」の役割が曖昧&負担が重い。

  • 複数代表にする/任期を明確にするなどして制度を整理する議論。


5. 残業時間の上限規制の見直し(特例の縮小・廃止方向)

  • 現在:

    • 原則:月45時間・年360時間

    • 特例:年720時間・月100時間未満など

  • 改正議論:

    • この特例をやめて、原則45h/月・360h/年に近づけていこうという流れ。

    • ただし中小企業の人手不足との兼ね合いから、一気に完全適用は難しく、
      段階的に「残業できる量」が減っていく可能性大

6. 残業時間・休日労働時間の「情報開示」義務化

  • 社外向け:
    「うちは長時間労働やってません」と見える化させて企業にプレッシャーをかける狙い

  • 社内向け:
    社員同士がお互いの残業状況を把握できるよう社内開示も義務化検討

7. 「週44時間」特例(小規模店舗など)を廃止方向

  • 常時10人未満の店舗等に認められていた週44時間労働の例外をやめて、

  • 他と同じ週40時間に揃える方向
    → 家族経営や地域密着の小規模事業者には結構きついので、段階的移行になる見込み。


8. テレワーク+通常勤務とフレックスの相性改善

  • 現状:フレックスを導入すると全部がフレックス前提になりがちで運用がしづらい。

  • 改正案:

    • 「テレワークのときだけフレックスOK」など、部分的な適用を認める方向。

  • これは反対も少なく、かなり実現可能性が高い


9. 「管理監督者(管理職)」の要件を明確化+健康配慮義務

  • いわゆる「管理職だから残業代なし」の扱いについて、

    • 店長だからといって裁判で否定される例が多い(実態は管理職じゃないなど)。

  • 改正案:

    • 管理監督者の要件を明文化・明確化

    • たとえ管理監督者でも

      • 休日確保

      • 過重労働時の医師面談
        などの**「健康福祉確保措置」は義務化**していく流れ。


10. 休日ルール:4週4休 → 2週2休へ?

  • 現行:

    • 4週間で4日休みがあればOK(理論上48連勤も可能)。

  • 改正案:

    • 「2週で2休」=最大13連勤までに制限する方向。

  • さらに、

    • 「どの日を法定休日にするか」を法律上も明確に定める義務を設ける案。

    • 多くの会社はすでに日曜を法定休日として運用しており、
      実務影響は少なめだが、法的に義務化されるイメージ。


11. 休憩時間のルール見直し(一斉付与など)

  • 現在:

    • 6時間超労働で45分以上、8時間超で1時間以上の休憩を一斉付与が原則。

  • フレックスや裁量労働のように、
    「実働時間管理がゆるい働き方」にも同じルールでいいのか疑問が出ており、

  • 休憩の与え方を柔軟化する方向で議論中。


12. 勤務間インターバル(終業~始業の間隔)の導入

  • 仕事が終わってから次の勤務開始まで、最低11時間空ける案

    • 例:24時まで働いたら、翌日は11時以降でないと勤務不可。

  • 医師・トラック運転手などではすでに類似の仕組み(9時間など)がある。

  • 欧州の多くの国が11時間なので、それに合わせる形。

  • ただし、トラブル対応が多い業種などでは運用が難しく、導入のハードルは高め


13. 「休日のメール・連絡NG」=つながらない権利

  • 休日のメール・チャット・電話が半ば強制労働になっている現状を問題視。

  • 休日は**「連絡してはいけない」「対応しなくてよい」**方向に持っていく案。

  • 当面はガイドラインレベルから始まり、将来は法制化もあり得ると解説。


14–16. 有給休暇まわりの見直し

14. 5日間の「時季指定義務」の運用見直し

  • 会社が「この5日は有休を取らせる義務」が今は一律。

  • しかし、

    • 育休復帰直後

    • 退職予定者
      などにも一律で当てはめるのはどうか、という問題があり、柔軟化が検討中

15. 時間単位有休の拡大検討

  • 「4時間だけ有休」など、時間単位での有休利用枠を増やすかどうか

  • 労働者側(組合)は「丸1日分の休みが重要」と主張しており、
    折衷案として

    • 労使合意があれば「10日分までOK」などの方向性も議論中。

16. 有休付与要件の「8割出勤ルール」廃止案

  • 現在:全労働日の8割以上出勤していないと有休が付与されない。

  • 諸外国にはない非常に日本的な要件であり、廃止を検討

  • ただし経営者側は「そもそも出勤していないのになぜ有休が必要?」と反対。


17. 割増賃金率の引き上げ案(特に深夜)

  • 長時間労働を抑えるため、残業・深夜・休日労働の割増率を上げるべきとの議論。

  • 特に22時以降の深夜割増率をさらにアップする案が出ているが、

  • 経営側は多様な働き方との兼ね合いから慎重姿勢


18. 副業時の「労働時間通算」をやめる案

  • 現状:

    • A社8時間、B社1時間働いたら、合計9時間として割増賃金…という考え方。

    • 実務上、会社同士の調整が非常にややこしく、副業が進まない要因にも。

  • 改正案:

    • **副業の場合は労働時間を通算しない(=割増賃金もなし)**とする方向。

  • 労働組合側:

    • 「長時間労働是正に逆行する」と大反対。

  • 経営側:

    • 「副業は本人の希望であり、本業の残業とは性質が違う」と主張。

  • いずれにせよ、近いうちに何らかの結論が出るテーマとされている。


19. 裁量労働制の対象拡大・使い勝手の改善

  • 現行はシステムエンジニア・デザイナー・研究者など限られた業種のみ

  • 手続きも複雑で、特に中小企業ではあまり普及していない。

  • 改正案:

    • 対象業務の範囲を広げる方向だが、

    • 労働組合は「長時間労働を助長する」として強く反対。

  • どこまで拡大されるかはまだ不透明


20. 農業・畜産・水産業などへの労働時間規制導入

  • 現在、これらの業種は労働時間規制の適用除外

  • 改正案:

    • さすがに全く規制なしは厳しいとして、
      健康確保を中心とした一定の規制を入れる方向